本買にも出会いがしらっていうことがある。
それまで何の関心もなかったことなのに、ふと本棚で眼にとまったその本に魅かれてしまう、
そんな風にして写真集を買ってしまった。
もちろん心のどこかの琴線に触れたからこそ今ここにその本はあるわけだけれど、その心のありか
が自分でもどうもよくわからない。
本を「買った」というよりは本に「買わされた」といったニュアンスである。
たぶんそれはその日その時のその本棚じゃなかったら、きっと全く縁がないままで終ったはずだし、
また、だからこそなんとなくそんな本がちょっと愛おしくなったりするのかもしれない。
そういうことって人と人とのあいだにもときどき起こる magic のひとつだけれど、出会わなければ
出会わないで、何もなかったかのように通り過ぎていくことでもある。
ふと、「君とは今通り過ぎていくもののことだ。」という Paul Williams の言葉を思い出してしまった。
Do you believe in magic ?
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GHOSTS vintage aircraft of world war 2 Philip Makanna / Chuck Yeager 1987
第2次世界大戦中の戦闘機や爆撃機の写真集で、P-51ムスタング、グラマンF6Fヘルキャット、ドイツ
空軍のハインケルやメッサーシュミット、英国空軍のスピットファイア、そして帝国海軍の零戦など
珠玉の航空機の美しい姿が、やや大きめのフォーマット(313 x 268 mm )に記録されている。
なかでも、CATALINA と呼ばれる大型の飛行艇(flying boat )は圧倒的な存在感で、翼長30mを越え
るこの大型機が悠々と海の上を低空で飛ぶその姿は、機能美の極といってもいいくらい優雅だ。
20世紀中頃(mid-century)のデザインの実力と、兵器というものの合理性にあらためて感服。
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11811 小説 坂口安吾 檀一雄 東洋出版 19691020初版
老ヒッピーを自称する無頼派が、HIPの巨人安吾を描いた小説のオリジナル版を買わないわけには
いきません。読み尽くした感のある坂口安吾ですが、同世代の友人の眼から見た姿、それもあえて
「小説」と銘うった作品ですから、夫人が書いた「クラクラ日記」とはまた違ったリアリティで、
この孤高の作家の姿が描かれているにちがいありません。
これは個人的理由でとりあえず not for sale 。
11806 DESIGN PARIS le guide 2004 intramuros
フランスのデザイン誌「intramuros」のおそらく別冊。
パリのデザインコンシャスなショップ・ブティック・ギャラリー・レストラン・ブックストアから
選りすぐられた300軒が、各区ごとにうまく紹介されています。
それぞれ英語の表記が附されていますから、フランス語さっぱりの私たちにはかなり助かります。
3年前のガイドブックですが、これなら現地でも充分役立ちそう。
この intramuros という雑誌、古書店ではあまりみかけないのでけっこう珍しいものかもしれません。
11804 家日和 奥田英朗 集英社 20070410初版
この作家の持ち味はちょっとシニカルなユーモア感じゃないかと思いますが、この作品集も「家(house
ではなくhome)」にまつわるあれやこれやが達者に描かれています。
さっと読み流すには文句のない短編集。
この人の精神科医伊良部シリーズ(イン・ザ・プール/空中ブランコ/町長選挙)は秀逸です。
11616 シーズン・チケット ロジャー・エンジェル 東京書籍 19920831初版
この前のエントリーで「できれば揃えてみたいとひそかに思っています」といっていた東京書籍の
アメリカ・コラムニスト全集、それもこの前買った「球場へいこう」の前編。
まさに make a wish, and let it come. 言ってみるもんです。
文庫では
30683 ハンニバル・ライジング 上・下 トーマス・ハリス 新潮文庫 20070401初版
30685 憑神 浅田次郎 新潮文庫 20070605 3刷
30686 Q & A 恩田陸 幻冬舎文庫 20070410初版
この3冊、奥付きを見るとどれも今年発行、ISBN が978で始まっている古本を買うのは気持ちがいい。
それにしてもこの恩田陸という人も、なかなかの手練れですね。