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2011.09.20

leap before you look

honpoflyer.JPG
『見るまえに跳べ』という詩にめぐりあった。
といっても、ずいぶん昔に読んだ覚えのある詩だから、再会というべきか。

それは、W.H.Auden という、アメリカの詩人(英国生まれ)が書いた詩で、大江健三郎の
小説(1958)や岡林信康のアルバム(1970)タイトルにもなっているけれど、たぶんこの詩
のことを知ったのは、寺山修司のエッセイかなにかだったように思う。

その短い詩は、こんな風にはじまる。

Leap Before You Look

The sense of danger must not disappear:
The way is certainly both short and steep
However gradual it looks from here;
Look if you like, but you will have to leap.

Tough-minded men get mushy in their sleep
And break the by-laws any fool can keep;
It is not the convention but the fear
That has a tendency to disappear.

危ないなと思う感覚を失くしちゃいけない。
ここからは緩く見えるかもしれないけれど。
時間はそれほどないし、けっこう峻しいはずだから。
見ていたいならそうすればいい、でも君はきっと跳ばなきゃならない。

タフな心を持った男たちも眠るときには柔らかくなり
どんな馬鹿でも守れる法律を破ってしまう。
消え失せていくのは
しきたりではなく恐れなんだ。
(拙訳)

もともとは「Look Before you leap(転ばぬ先の杖)」ということわざだったものを、転回させた
ということらしいが、それにしても、「見るまえに跳べ」とは、なんと刺激的な言葉だろう。

どのみちほんとうに意味のあることは、「ヤバイ」ところにしかないわけだから、どうしても越え
なければならないところは、そうやって跳ぶしかない、のかもしれない。

ウダウダと考えていたって何も始まらないし、見てしまったら足が竦んでしまうかもしれないし。

でもそれは「無謀」とほとんど紙一重のところだろう。

そんな無謀ともいえるチャレンジを、この時期にまたやる羽目になってしまった。

木村家本舗。

去年のこの催しが終わったとき、木村さんはこんな風に言っていた。

そんな訳で、2011年に、木村家本舗が、本当にもう一度、催されるかどうかは、未定ですが、
そんな模索は、続けていきたいとおもいます。

木村さんは、じつはこのときすでに今年もやることを決めていたはずだ。

そしてそれを見て、ぼくはこんなツイートをしていた、それも連続で。

もう少し違うアプローチもある、たぶん。
kotobanoieNov 02, 6:05pm via Web

迷ったら、ヤバイほうへ。
kotobanoieNov 02, 6:06pm via Web

creativeとは、まず破壊することだ。新しい価値を造るためには、まず崩さなければ。
ひょっとしたら自己満足に甘んじている自分自身を最初に。微笑みながら。
kotobanoieNov 02, 6:13pm via Web

すべてを捨てたあとに残るもの。
kotobanoieNov 02, 6:21pm via Web

ちょっとわかりにくいかもしれないけれど、木村さんのそんな気配を察して、同じこと繰り返すのは
やめましょうよ、というちょっとネガティブなメッセージを発信しているのだ。

にもかかわらず。

とにかく、去年より深化させようということがすべて。

去年の10月からの1年は、ただの時間ではなく、時代のパラダイムが変わったことを強く感じさせる
1年だったし、個人的にも ” The Henry Miller Memorial Library ” を知って、本と人との関係のあり
方に強い刺激を受け、Book Shop ではない 「Library」というスタイルを真剣に考え始めていた。

だったら、その感覚をそのまま表現できれば、去年とはまったく違う「木村家本舗」が、ひょっとしたら
できあがるんじゃないか、少なくともその端緒にはなり得るのではないかと、思い直したのだ。

というわけで、今年もやります。

そんな想いがどこまで表現できるのかはやってみないとわからないけれど、とにかくもういちど新しい
気持ちで、本を選びたいと思っています。

■  木村家本舗 BOOK IN RTESIDENCE 2011 のインフォメーション

遊びだけど、真剣。
写真家が写真を撮るように、建築家が建築をつくるように本棚を表現したい.わけです。

ぜひご高覧のほどを。

Sept. 20, 2011
BOOKS + コトバノイエ  店主敬白