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2011.11.14

100 books of quintessence

kappan.JPG

よしなしごとに忙殺されて、不覚にも10月は一編も書けず。
とはいえ、twitterやfacebookでは相変わらずくだらないことを垂れ流し続けているわけだから、
多忙がその理由にはならないことは、自分でもよくわかっている。

世の中には同朋も少なからずいらっしゃるようで、この新手のSNS以降、RSSで購読している
方々のブログの執筆率は明らかに激減している。

考えてみれば新しいメディアが、新しいコミュニケーションのスタイルを生みだすのは当然で、
このblogというインターネットでしかあり得ない表現のスタイルが、何かを語りたいという衝動の
ひとつのoutputとして機能したのは間違いなく、ひところは、何かを語りたい人がこんなにも
たくさんいたのかと驚かされた時期があった。

今やそのoutputの中心は、facebookに移りつつあるんじゃないかというのが実感だが、
もとよりブログ(日誌)と称しながら、ひたすら買い続けている本のことやコラムのようなものを、
細々と書き連ねてきたものにすれば、じつはそんな世の流れとは無縁で、それができなかった
のは、ただただ「木村家本舗」という奔流に翻弄されていただけにすぎない。

百冊の極上、という言葉がふと浮かんだ。

「木村家本舗」の成り行きを記した この前のブログ “leap before you look” で、

” 写真家が写真を撮るように、建築家が建築をつくるように本棚を表現したいわけです “

と、なにげなくつぶやいたところが、その始まり。

本棚が本屋にとっての表現なら、いっそピュアな作品として本をセレクトし、ひとつの本棚を造り、
それをパッケージとして値段をつけてみよう、と考えたのだ。

もちろん依頼を受けた本棚ならそんなことはできないけれど、木村家本舗はある意味実験の場
のようなものだから、そこでなら、いやそこでしかできないんじゃないか。

厳選された百冊の本のパッケージ。

百冊というのはちょっと多い気もしたが、「百花の百本」が頭にあった。

古民家をリノベーションしたcafe百花のためにセレクトした百冊の本たち。

そのためにつくってもらった素敵な本棚に並んだその百冊の本たちは、この1年間、少しずつ姿を
変えながらcafe百花のライブラリイとしてじんわりと存在感を発揮しはじめていて、その百冊という
スケール感が、自分の中でフィジカルな感覚として、だんだんわかりはじめてきたところだったのだ。

それは理想の本を選ぶという熟考ではなく、そこにある本の中から、一瞬の集中で、そのときに
宿るなにかを掬いとるという、まさに一枚の絵を描くような、ソロセッションなのだ。

そして、木村家本舗で公開した、その口上。

極上の百冊

コトバノイエの本棚から抽出されたエッセンス。

入手方法やその時期は様々ですが、ここに選んだ本たちがコアと
なってBOOKS+コトバノイエというブックショップが拡がっていきました。

そういう意味でこの百冊の本は、コンテンツだけでなく、装幀や
その佇まいも含めて、それぞれが脳細胞のように密接に結びついて
いるため、どうしても切り離すことができず、ひとつのパッケージ
として販売させていただこうと考えました。

そしてそれは本屋の憧れでもある「棚買い」の目論見でもあります。

もちろん、 Library として自由に読んでいただくことはできますし、
どうしても単体で入手したいとおっしゃる方には、オーダーとして
お受けすることは可能です。

quintessence

 
30万円という値段をつけたこの「作品」は、もちろん、というか幸いにもというか、買い手がつく
ことなく手元にもどってきたが、ぼくの中でこのゲームは終わることはなく、戻ってきたその日
すでに、その百冊をブラッシュアップすべく、解体し再構成するという作業にとりかかっていて、
2nd edition とでもいうべき、あらたな百冊を目論んでいた。

つまり、このアイデアをぼくはけっこう気に入っているようなのだ。

そして、そういう風に想っていれば拾う神というのが現れるもので、早速その 2nd edition を、
お披露目する機会に恵まれた。

図書室橋本」 at 橋本健二建築設計事務所  2011/11/19  15:00 – 22:00

「図書室橋本」は、建築家の橋本健二さんが、明治時代に立てられた木造校舎を移築した
オフィスで月一回その膨大な蔵書を公開するという催しで、その第三回に参加、というか、
参戦させていただくことになったのだ。

橋本さんとは、折にふれて、買った本を、twitterやfacebook上で見せびらかし合いをするという
じつに大人気ない遊びをする間柄なのだが、10月に行われた「図書室橋本」に伺ったときに、
その蔵書のあまりの凄さに嫉妬心がおこり、「図書室vs古本屋」で対決しませんかと、これまた
かなり大人気ない対決を申し込んだら、橋本さんがにこやかに大人の微笑みで受け入れて
くださって、実現の運びとなったもの。

BOOK LIST of 極上の百冊 2nd edition

この100冊と、今回の橋本棚のテーマである「美腐的」のためのセレクション、そしてコトバノイエ
の本棚から、この日のために選んだスペシャルバージョンの本たちを、もって行きます。

たった一日だけの展示ですが、それゆえより純粋に。

ぜひ、ご高覧のほどを。