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2007.09.14

something make me smile

hockney.jpg


ひとことで本というと、つい四六判や菊判といったいわゆる単行本のサイズをイメージしてしまうけれど、写真集や画集といったアート関連の本には少し大きめの版型や変形サイズのものがあって、そんな本を買ったときは、なんとなくウキウキしてしまう。
 
大きな本ってなんだか少しウレシイのだ。

そういう少し大きな本たちはたいていの場合けっこう高い定価がついていて、古本じゃないとなかなか気軽に買えないってこともその理由のひとつだけれど、なによりも少し大きめのアートコンシャスな本が自分の本棚にあると、なんとなく生活そのものがちょっとだけ豊かになったような気がしてしまうから不思議だ。


DAVID HOCKNEY の画集を買った。

正確にいうと画集ではなく、1994年に東京・香川・福島・千葉を巡回した「Hockney in California」という展覧会の図録っていうやつで、A4変形の判型に、ホックニーが26才(1963年)でカリフォルニアに渡る前に描いた「空想のカリフォルニア」から、L.A.に定住し最近に至るまでの南カリフォルニアのいろいろをモチーフにした作品たちが、California Dreaming / Getting around  / Nostalgic Returns / Another Perspective  / Making A New Space という5部構成で掲載されている。

作品の中では、70年代後半に発表されたポラロイドSX-70による「プリント・コラージュ」がとても創造性にあふれたアーティスティックな試みだと思うけれど、極めつきはなんといってもプール。
この人の描くゆらゆら揺れるプールの質感にはなんともいえないポップな詩情にあふれている。 

片岡義男が「紙のプールで泳ぐ」というエッセイでいっているように、砂漠の上に構築されたといってもいい南カリフォルニアの街並みに点在するスイミングプールは、その存在そのものが芸術といってもいいようなシュールな雰囲気をもっているし、あのバカみたいに抜けきったL.A.の空の下、そこかしこのアパートメントや住宅の庭できらきらと陽光を反射するスイミングプールを、茫然と眺めている英国人アーティストの姿が眼に浮かぶ。
きっとそのとき彼は、なんともいえない解放感とリアリティのない浮遊感の中で、柔らかに微笑んでいたはずだ。

カリフォルニア、とくにL.A.の日常風景をアンリアルに、そして切なく描いたこの本を、いつものように背表紙を向けてではなく、表紙が見えるように本棚に並べた。

display である。


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□ HOCKNEY in Califonia  デヴィッド・ホックニー展図録 1994  ¥2,400   FOR SALE from here

□ 紙のプールで泳ぐ  片岡義男 19851215 ISBN4-10-349003-9   ¥600   FOR SALE from here


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建築家石井修さんが逝去された。 

昼なお昏い目神山のご自邸で、一瞬ではあったがお会いできたのがわが身の光栄。 

矍鑠としたその姿の残像に、孤高であることの悦楽と、そして孤独を想う。    

合掌