11562 | 「なんか一冊じゃなくひとまとめに括りたいんですよね、この辺」 という木村さんのリクエストで登場したスタイル、「三位一体」。 この3冊は晶文社というくくりです。 いささか世代的なニュアンスが濃いですが、犀のマークの本は 木村さんならずとも、本屋では気になるブランドのひとつです。 この時代の晶文社の本に感じていたのは、端的にいうとアメリ カのウエストコースト、カリフォルニアの若者の自由な(そう見え た)ライフスタイルだったんだろうと思います。 そんな雰囲気をもっとも良質に伝えているのがこの3冊、 それほど珍しい本ではないのですが、どれもリアルタイムで 入手したもので、オブジェとして、シワやシミごと保存しておき たい本なのです、ノスタルジイではなく。 ■ 「アメリカの鱒釣り」はジャケットが印象的です。 サンフランシスコの市街、ワシントン・スクェアにあるベンジャ ミン・フランクリンの銅像の前に立つブローティガン。 このジャケットこそが「アメリカの鱒釣り」なんだと思えてきます。 「マヨネーズ」という言葉とともに終わる47の比喩に満ちた断片。 彼が自死で生涯を終えたことを考えると、けっきょく自分がつく る幻想以外に、居場所のなかった人じゃなかったかと思います。 ■ 「アウトロー・ブルース」 ポール・ウィリアムスは、ブローティガンと並ぶピッピー世代最 良の書き手のひとり、ロックという音楽を自分の言葉で情熱的 に語った人類初のロック評論家です。 彼に影響を受けた自称音楽評論家は日本にもたくさんいますが 結局誰も彼のように音楽を語ることと自分のライフを同一化する ことができなかったわけです。 この本の真摯で瑞々しい言葉は、限られた季節の一瞬の輝き に満ちています。 ■「10セントの意識革命」 この本と、「ぼくはプレスリーが好き(1971)は、ウエストコースト からの黒船だった。片岡義男が、クールな文体で切り取るアメ リカの様々な風景(SCENE)に、ひたすら憧れた。 片岡義男のアメリカこそがアメリカだった頃の話。 |
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アメリカの鱒釣り TROUT FISHING IN AMERICA リチャード・ブローティガン 晶文社 19751220 5刷 ¥1,200 FR not for sale | ご注文方法 | お問い合わせ | |
アウトロー・ブルース OUTLAW BLUES ポール・ウィリアム 晶文社 19720930 1刷 ¥880 FR not for sale | ご注文方法 | お問い合わせ | |
10セントの意識革命 片岡義男 晶文社 19810310 10刷 ¥1,200 GD ¥800 | ご注文方法 | お問い合わせ | |