11566             12032            10052          
「庭」の3冊。

住宅は住宅だけで完結しない。
住宅には必ず外部の空間があり、建築的には「外構」など
と呼んだりするが、それは要するに「庭」のことだ。

庭といっても、庭園から坪庭、あるいはアパートメントに付属
するバルコニーまで様々な形態が考えられるけれど、とにか
く、人の暮らしには、必ずその外部空間が要る。

そして、住宅の建築を生業とする木村さんが、庭に関心がな
いわけがない。

■ 庭仕事の愉しみ
庭がいかにこのノーベル賞文学者を癒したか。

とにかく庭仕事は、なにかを捧げれば必ず正直に応えてくれ
るのだ。そしてそのことが雑事から心身を解放し、あらたなる
思索と創造を生む。

園丁はみな哲学者だ。

■ 庭 日本美の創造 
日本の名庭園についての随筆集。
技法的な面だけではなく、時代背景、作庭者の精神性と
いったところから芸術としての庭園の美を思索している。

「私はしだいに庭が芸術であることに目覚めだしていた。
芸術とは作った人の自己表現だ。庭を作ることによって、
祈りを完成し、自己の自然を、自己の宇宙を創成すること
ではないか。」

見立てではなく、創造物、つまり作庭者が土や石や木や
草で描いた立体作品として見るということだけれど、なる
ほどそう見れば、庭の相貌が違って見えてくる。

■ 宇宙の庭 龍安寺石庭の謎
鳥玄坊こと明石散人という人の「解釈ゲーム」の面白さは、
トンデモと知的のギリギリのところにあるんだけれど、よく
考えてみると、できあがったものを、自分都合の資料を駆使
して、強引に意訳するのは、それほどたいしたことじゃない。

この竜安寺の枯山水石庭のスペース・ガーデンという謎解き
も悪くはないけれど、こいつはこの資料を読んでないからだめ
だ、なんていうレヴューがあったりするから怖い。

こういう庭は、絵画を眺めるのと同じで、要は、変わらない
もの(庭)を前にして、移ろいゆくもの(自然や自分)を、感じ
られればいいんじゃないかと思うんですが。


庭仕事の愉しみ
ヘルマン・ヘッセ
草思社     19960912 12刷     ¥1,900
GD     ¥1,200

ご注文方法 お問い合わせ

庭 日本美の創造
吉村貞司
六興出版     19810225 初版     ¥1,600
GD     ¥1,200

ご注文方法 お問い合わせ

宇宙の庭 龍安寺石庭の謎
明石散人/佐々木幹雄
講談社     19920225 1刷     ¥1,400
GD      ¥700

ご注文方法 お問い合わせ